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『避けるべきは、運営者の神格化』日本のICOプロジェクトALISが考える、ICOの本質

 
こんにちは、finte編集部の佐野です。
 
仮想通貨元年と呼ばれた2017年には仮想通貨を発行することによる新しい資金調達方法であるICO(Initial Coin Offering)が大いに注目を集めました。
 
ICOは、企業が独自のトークン(企業が将来的に作成するプロダクト内で利用可能な場合が多い)を発行し、それを投資家に購入してもらう資金調達の方法です。
 
投資家は、購入した仮想通貨で利用できるプロダクトが一般に普及し、通貨の需要が高くなると購入時よりも何倍も高い価格で仮想通貨を売却できる可能性があります。そのため、投資家はICOによる早い段階での仮想通貨の購入を検討します。
 
一方で、悪質なICO運営者は集めた資金を持ち逃げしたり、プロジェクトをする気もないのに資金を調達することがあるため、投資家保護のためにICOを規制する国も少なくありません。
 
ICOとは規制されるべき詐欺なのか、それとも未来の可能性を広げる画期的な方法なのか。
 
ICOの本質と現状を理解するために、国内としては初期段階のICOプロジェクトで4億円の資金調達を昨年2017年に成功し、2018年4月にプロダクトのβ版を公開する予定の株式会社ALISの代表である安 昌浩やす まさひろ)氏と、同社CMOでありマーケティング担当の水澤 貴(みずさわ たかし)氏にお話をうかがいました。

 

 

人物紹介:安 昌浩(やす まさひろ)氏

 
京都大学において核融合の研究を専攻
2011年株式会社リクルート(Indeedの親会社)入社
リクルートグループの企画に贈られる最高賞GROWTH FORUMを受賞
日本マイクロソフトとの共同プロジェクトのプロジェクトリーダー
ブロックチェーン技術に出会い、ALISを立ち上げる
 
人物紹介:水澤 貴(みずさわ たかし)氏

 
立命館大学在学中にスタートアップ企業を立ち上げる
ベネッセコーポレーションに入社 
全社組織のマーケティング部門MVPを受賞
リクルートキャリアへ転職
ALISにてマーケティングを担当する
 

 
 

目次

【目次】
メディアを変える可能性を持った「ALIS」プロジェクトとは

 -ALISプロジェクトの説明

実際におこなったからこそ分かるICOの本質とは?

 -ICOの本質とは、「画期的な資金調達」だけではない
 -ALISが考えるユーザーとの付き合い方

日本のICOプロジェクトとしてのALISの役割とは?

 -ICOのプレイヤーとしてALISが思うこと

ALISの目指す評価経済とは?

 -ソーシャルメディアは始まりにすぎない

さいごに
 
 

 

メディアを変える可能性を持った「ALIS」プロジェクトとは

 
ALISを知らない人のために、ALISがどのようなプロジェクトかを教えて下さい。
 
氏 :ALISはトークン(仮想通貨)を報酬として、質の高い記事、信頼できる個人に素早く辿り着くためのソーシャルメディアプラットフォームです。ALIS上に投稿した記事に「いいね」されると、記事を書いた人はALISトークンで報酬が払われる仕組みとなっています。また「いいね」をした人にも、良い記事を発掘したということで報酬が払われます。
 

 
 
情報の投稿や評価をすることによって、報酬が発生するということはメディアを運営しているものとしては嬉しい話ですが、なぜこのようなサービスを作ろうと思ったのですか?
 
水澤氏 :メディアを収益化するためには、広告による収入を得ることが一般的です。広告のモデルは「どれだけの人にメディアが見られているか」ということが大切になってくるため、閲覧される回数などを目標に置くことが多いと思います。
 
しかし、収益を生むために閲覧数ばかりを追い求め、情報の信頼性が担保できていないメディアがどんどん増えているように思います。それはメデイアの量が増えている中で、質の高い記事を見つけることが難しくなることを意味しています。特に、仮想通貨に関する情報は信頼性が担保されているとは言い切れない情報がたくさんありました。
 
仮想通貨に関して信頼のおける情報を多くの人が求めていると感じていること、ALIS メンバーも仮想通貨・トークンが⼤好きだというところから、まずは仮想通貨領域に特化したテーマで記事を募集していこうと考えています。

 
 

すでにSNSはたくさんありますが、ALISのサービスを使うことによってユーザーはどのようなメリットを得るのでしょうか?
 
氏 :ALISのユーザーは大きく3つに分けることができます。ALISのトークンをICOによって購入してくれた投資家ALISのサービスを実際に利用し記事を書いてくれるライターALISで記事を探すユーザー。この3者に分けてメリットをご説明します。
 
ALISはICOにより4億円近くの資金を調達したのですが、資金調達の際にALISトークンを購入してくれた投資家にとってのメリットは、今後ALISのサービスが普及してトークンの価値が上昇することです。多くの人がALISを利用することでトークンの流通と需要が増えると、購入した際の金額よりも高くトークンを売却できる可能性があります。
 
 
水澤氏 :ALIS内で記事を書いてくれるライターにとってのメリットはとてもシンプルです。ALISにて記事を投稿しその記事に対する読者の評価が付けば、ALISのトークンを得ることができます。ALISトークンは現金に換金することができるため、記事単体での収益化をおこなうことができます。
 
またALISで記事を探すユーザーは、ライターに報酬を払う広告主の思惑が存在しない「評価が適正になされた信頼できる情報」に触れることができます。さらに、後に評価の高まる記事を早くから見つけて評価をすれば報酬を得ることもできます。

 
 
ALISは、どのような経緯で資金調達をICOでおこなおうと決めたのですか?
 
水澤氏 :僕も安も、仮想通貨領域が好きで見ていたのですが、日本からのICO案件がほとんど出てこない状況がありました。ICOについて語る文脈もトレードをして儲かった、損したという話ばかりでした。
 
ALISとしては、事業開発の手法としてICOはすごく面白そうだなと感じていました。ALISがICOを実際におこなうことによって、その面白さをスタートアップの方にも感じていただいて、日本発のプレイヤーが海外で活躍するという状態を一緒に作っていきたいという想いを持って、実行することを決めました。今もその気持に変わりはありません。
 
 

実際におこなったからこそ分かるICOの本質とは?

 
ICOを日本で達成させたALISですが、ICOを実際におこなったからこそ分かったことはありますか?
 
氏 :ICOの本質は、お金集めではなくて事業開発だと考えています。トークンを持ってもらうため、最初からユーザーとサービスを作り上げてもらう体験ができるのがICOの良さです。コミュニティが作れて、そのコミュニティが(持っているトークンの価値をあげるために)事業に協力してくれる点がもっとも画期的な点だと考えています。
 
その本質を捉えずに、単純にお金をかけて集客をすると、利潤目的の人ばかりが集まってくるため、儲からなくなった瞬間にみんな離れてしまいます。
 
 
単純に参加する人(お金)を集めようとしているのか、納得してプロダクトや運営者のファンになって参加する人を集めようするかでICOは本質的に違うということですか?
 
氏 :そうですね。僕たちは人を集めるということだけではなく、集まった人がいかにALISに共感してくれるかということを考えながらICOをおこないました。だからこそSNSなどでのユーザーからの質問やフィードバックには必ず受け答えをおこない、理解いただけるように努めました。
 
ICOの手法はどんどん変わっていきますが、投資家としてプロジェクトに参加する方には『お金を集めようとしているのか?』『将来見据えて事業を作ろうとしているのか』ということに注目してもらえると、ICOの運営者も嬉しいと思います。
 
 
水澤氏 :応援してくれるはずの人が集まっているコミュニティでお金の話(トークンの価格上昇の話し)しかされておらず、お互いに煽り合って、価格が下がった時には『俺は売り抜けたぜ』と報告し合うような、まさにババ抜き状態のコミュニティとなってしまうのは、残念ですよね。
 
 

避けるべきは運営者の神格化。ALISが考えるユーザーとの付き合い方

 
ALISさんは情報開示をおこない、ユーザーとのコミュニケーションを大切にされているという印象がありますが、そのように思い至った原因などはありますか?
 
氏 :情報開示のポリシーとして、ALISが決して正解だとは思いませんがコミュニティを巻き込むために、自分たちのことを知ってもらわないといけないと考えています。
 
今何をやっているかわからないプロジェクトに協力をすることは難しいと思うので、そういう意味では可能な限り全て開示しようというポリシーでおこなっています。今後メンバーがおこなうタスクやロードマップを公開していますし、Twitter、slack等で『今日のALIS活動』として日々情報を公開しています。
 
これはオープンソース的なプロジェクトだからこそかも知れませんが、コミュニティを巻き込む必要があるICO案件であれば、このような方法は有効的だと考えています。
 

 
 
アンバサダー(大使)の方の記事で、最初は儲かるかどうかという基準でICOを見ていたけれども、知っていくうちに本当に好きになって応援しているという記事を拝見しました。これがICOの本来の姿なのかなとも見ていました
 
氏 :技術のプラットフォームとなるイーサリアムのようなものに投資家が期待するものと、ALISのようなプロジェクトに期待するものは全く違うと思います。しかし、少なくともALISのようにコミュニティといっしょに作り上げるようなプロジェクトであれば、サービスに魅力を感じ、一緒に応援するのが好きだと思える、そしてトークンの値段も上がってくるというような順番にならないと、巻き込んでいくことは難しいと思いますね。
 
 
水澤氏 :海外のプロジェクトでも、ずっと日の目を見ずに結局良かったのか悪かったのかも分からずに動かなくなっているICO案件もあります。だからこそ、やはり走りながらプロダクトを作っていくことが重要だと思います。ユーザーの方とは、失敗するかも知れないけど、全力捧げてやるので、応援してください!というコミュニケーションや関係性が大切だと思いますね。もちろん、投資してくれた方には全力で価値を返すのが大前提です。
 
アンバサダーの方も、応援してくださると同時に、今でも批判してくれます。それがすごくありがたいと思っています。運営者が神格化してしまったら、事業開発的に本当に駄目だと思っています
 
 
氏 :コミュニティにも当然、ALISへの理解度の差はあるので、コミュニティ内で批判が先行して、コミュニティにいるユーザーが不安になって離れてしまいそうになることもあります。きちんとALISを理解して納得して応援してくれているユーザーであれば、僕達が気付いていない批判などに関して、代わりに受け答えや議論をしてくれます。
 
このような空気感は、お金儲けだけではなく『一緒に事業を作る』という意識を持って応援してくれる方が集まってくれているからだと自負しています。
 

 
 

日本のICOプロジェクトとしてのALISの役割とは?

 
 
サービスのリリースにあわせてイベントをおこなうとお聞きしましたが、詳しく教えてください。
 
水澤氏 :4月23日におこなうイベントはALISだけでおこなうことはせずに、過去につながりがあり優秀だと思う業界のキーマンをお呼びしてディスカッションをおこないます。来ていただくとALISなりの意思のようなものを感じることができると思います。
 

 

参加者一覧
・卜部 宏樹  (サイバーエージェントビットコイン社長)
・河合 健   (アンダーソン・毛利・友常法律事務所 弁護士)
・藤本 真衣  (Miss Bitcoin、株式会社グラコネ代表取締役)
・安昌浩   (株式会社ALIS・CEO)
・水澤 貴  (株式会社ALIS・CMO)
 

 
 
無料でのイベントということですが、ゲスト選びで考えたポイントなどはありますか?
 
氏 :お呼びした人は、基本的に海外のことも知っているグローバルな視点の持ち主か、業界のトッププレイヤーとして走っている人をお呼びしました。
 
ICOはお金が集まってしまうので、資本主義の中では「さらにお金をあつめよう」とお金あつめに走ってしまいがちです。そんな不健全な部分もある業界なので、イベントなども運営側がお金を出して集客力のある人を呼ぶ事も少なくありません。
 
ICOとは本来、ユーザーがトークンの一部を持つことによって、トークンの値上がりに期待するためにプロダクトの作成にもコミットしてくれるという今まで見たことのない、事業開発やユーザーの巻き込み方であるはずですが、ただのマネー・ゲームになってしまっている現状があります。それはすごくもったいないと思っています。
 
日本でのミートアップなどで討論内容として語られるのは、ICOの画期的な点はいままで資金調達ができなかったスタートアップが資金調達できる点にあるといわれていますが、今ではICOをすれば誰でも資金調達ができるというというわけではなくなっています。
 
繰り返しになりますがICOの本当の価値は、いままで資金調達が可能だった人たちがコミュニティを作ることと同時に資金調達を達成できる点にあると思っています。日本では、そもそもICOのプレイヤーもほとんどいないため、このようなICOのもつ素晴らしい面を伝えていくことが必要だとおもっています。
 
 
水澤氏 :個人的には、計画通りにするということが求められる大企業でICOをするのは難しいと思っています。ICOとはコミュニティと一緒にものづくりをする手法ですので、機敏に動けるスタートアップでないと、相互に意見を言い合ってプロダクトを良くしていくことや、予測不可能な見通しのなかで、その時のベストな選択肢を選びながら進んでいくということが難しいのではないでしょうか。
 
まだ、ICOで成功したと言えるプロダクトやプロジェクトは無いと考えていますので、日本の中でそれを作りたいです。規制もその動きを応援しようという流れになっていくと思いますが、プレイヤーなしでそれを決めても意味がない気がします。だからこそ、登壇者もプレイヤーであることにこだわっています。
 
氏 :水澤も言っているように、ICOをおこなって実際に普及しているプロダクトはまだ、皆無といえます。その可能性が見えない中で、お金集めや投機ばかりに目がいってしまうとICO自体を取り締まるという方向に向かいかねません。このままでは、どのプロダクトも出ないまま、全て規制で禁止されて終わる可能性もあります。
 
そうなると、せっかく出てきた種がなくなっていますし、今までの日本の負けパターンに入ってしまいます。スタートアップがもっと挑戦する機会を増やさなければと思い、メディアやイベントを積極的におこなっています。

 
 

ALISクローズドβ版公開記念イベント

 
多くの参加者が集まったイベント当日は、ゲストスピーカーの講話やパネルディスカッション、ALISのこれまでの軌跡と今後の方針が発表されました。
 
イベントの最後にはコミュニティの方から、β版の公開を記念して花束がサプライズで安さんに送られるなど、本当に愛され、共に創っていきたいと考えるコミュニティに支えられているプロジェクトであることが表れていました。
 

 
 

ALISの目指す評価経済とは?

 
さいごに、サ―ビスの今後の展望を教えてください。
 

氏 :最終的にやりたいことは個人の信頼度をテーマごとに可視化することです。その信頼度を利用することによって、ネットや実社会で仕事を取るなどといった個人の経済活動の手助けとなることです。
 
その一歩目のステップとして、ALISのソーシャルメディアを立ち上げます。記事を書いてもらったり、いいと思う記事を評価してもらったりします。それらのアウトプットを通じて、その人が分野の中でどれほど信頼度が高いかを数値化します。
 
人々が求める情報と、信頼度が高い人の情報がどれほどマッチするかを検証しつつ、少しずつテーマを広げていきたいと思います。最初は仮想通貨領域からおこない、食レポなどのテーマを積み上げながら最終ゴールに達していきたいと考えています。
 
 
ではALISさんは、ソーシャルメディアを作りたいのではなく、その先の評価経済の基盤を作りたいと思っているのですね。
 
氏 :まさにそうです。評価経済を実現するために、価値経済の一端となるトークンエコノミーを実現し発展を目指しています。
 
水澤氏 :社会関係資本の可視化と昔は言っていましたが、いまでは評価経済的行動力のようなものが入ってきたら面白いと思います。価値主義を体現できているサービスはまだないので、それを作りたいという思いがあります。
 
氏 :人間の生産活動に関しては資本主義には限界がきていると思います。マネー・ゲームのほうが儲かってしまうことが現実ですが、お金からお金を生み出しても現実世界では何の価値も生み出していません。それを少しでも変えたいなと思います。それが僕らの挑戦です。
 
 

さいごに

 
いかがでしたでしょうか。
 
ALISのインタビューを通して、ICOの本質とは資金調達の敷居を下げ、簡単にするものということだけではなく、事業に共感する仲間を集め、共に作り上げていくことだと教えていただきました。
 
詐欺的なプロジェクトも中にはあるようですが、ICOとは、投資家にとっても単純にお金を投資するだけではなく自分のコミットによって事業の拡大を手伝うことができる、未来の事業との関わり方なのかも知れませんね。
 
こちらの記事ではALISのインタビューから導き出した、ALISのようなICOプロジェクトを見つけるための注目ポイントを5つ紹介しています。

 
 


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佐野 祥貴

佐野 祥貴

新卒で入社した企業の出資先であるベンチャー企業に入社1ヶ月で出向、事業の立ち上げ、Web広告の営業、広報活動などを経て、finte編集部にて活動。全くの初心者にも知見のある方にも、わかりやすく、おもしろいフィンテックとの出会いをWebを通じて届けることができればと考えています。

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