
仮想通貨の中核技術となっているブロックチェーン。この技術は、仮想通貨に限らず、あらゆる分野への応用が期待されています。
そして、このブロックチェーンを医療分野に取り入れようとしているのが、イギリスに本社を置くCuraizon社です。イギリスが抱える課題と合わせて、その取り組みをみていきましょう。
高まる国民保健サービス(NHS)への需要
イギリス政府は、廃棄物の削減や癌患者の生存率の向上、より良い精神保健サービスの提供を目指して、国民保健サービス(NHS)に毎週3億9,400万ポンドを追加で資金を投入する予定です。
最新の研究によると、心臓病、癌、糖尿病などの慢性疾患は、驚くことに今やイギリスの年間死亡者数の90%を占めています。実際、世界保健機関(WHO)は、2020年までに慢性疾患の有病率が57%まで上昇すると予測しています。
このような現状を受け、NHSは、迅速にデジタル技術を採用して、医療サービスの向上に貢献する必要に迫られています。
Curaizon社によるブロックチェーン型医療システム
一方で、デジタル化と技術の進歩によって、生活習慣病がさらに悪化する可能性が指摘されています。例えば、2017年には、イギリスの家庭の90%がインターネットにアクセスし、73%の成人が携帯電話やスマートフォンを使用して「移動中に」インターネットにアクセスしています。
このように、インターネットへのアクセスが容易になったことと、テクノロジーが世界中に普及したことにより、慢性疾患治療の需要が増加しているのです。
そして、テクノロジーを介して患者や一般の人々に手を差し伸べることが、今後の対処法として有用であると考えられています。
迅速なコミュニケーションと患者のデータを活用することを可能にする新たなシステムは、医師、看護師、総合診療医、医学研究者がより迅速かつ効率的に多くの病気を治療するために役立ちます。
Curaizon社は、ブロックチェーンを活用して救命技術を提供しています。高度なデータ分析は、予防医学、患者のデータ管理、ヘルスケアの管理、特定の治療法の効果測定などの分野でうまく機能するでしょう。
また、データの量が増えるほど、健康科学における病気の正確な把握と、各患者に合わせた治療法の開発に役立ちます。このような新しい技術を活用することで、健康対策や患者へのケアをより重視した医療を提供できるようになります。
服薬アドヒアランスの向上へ
Curaizon社が提供する、膨大なデータ、人工知能、および機械学習ツールは、医療サービスの改善のために非常に重要です。例えば、リアルタイムな患者のデータは、世界中で50%に達する服薬アドヒアランス不良の根本的な理由を、医師、研究者、介護者が理解するのに役立ちます。
これらによって、患者に薬の適切な服用時間を通知したり、副作用が少ない薬品といったより良い薬品開発に取り組む研究者を助けたりすることができます。
そして最終的には服薬アドヒアランス率を向上させます。
服薬アドヒアランス不良:患者が薬の性質を理解せずに服薬したり、積極的に治療に関与しないこと。服薬アドヒアランス不良率が高いほど、医師による治療の効果が下がるといわれている。
デジタル×医療で医療ケアの向上、財政負担の解消へ
生活習慣病といったさまざまな病気の患者が増えることで、全国的に医療システムに人や情報が集中します。そしてその度合いが高まるほど、協力の必要性が増すでしょう。
デジタル化によって中央政府、地方自治体、および全国の医療機関が緊密に協力し合う機会が提供されます。そして肥大化する医療関係の財政負担が縮小され、医療サービスの効率が良くなり、より良い成果をもたらすと期待されています。
Curaizon社のデータと情報は、医療業界に大きな変化をもたらし、医療ケアの質を向上させ、廃棄物を削減する一方で治療効果を大幅に改善します。
医療サービスに効果的なツールを導入することにより、NHSは患者や医療提供者が求めるサービスを提供することが可能になるでしょう。

finte編集部

最新記事 by finte編集部 (全て見る)
- 海外企業4社、Wibson・Decentraland・Zeppelin・Olyseumによる合同Meetupイベントレポート - 2018年8月3日
- 医療業界を変えうる3つのソリューションとは? - 2018年7月27日
- イギリス政府、国民保健サービス(NHS)と地方自治体が連携して財政問題をデジタル化で解消 - 2018年7月20日